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　野田の富士信仰

　野田市郷土博物館では１２月１５日
　まで特別展「野田の浅間様ー石に刻
　まれた富士山への祈り」が開催され
　ています。
　浅間様とは富士信仰に由来する石碑
　「浅間碑」および富士山を模した塚
　「富士塚」のことです。
　富士信仰は奈良時代８世紀頃の山麓
　から山頂を仰ぎ見て崇拝する「遥拝
　」から始まり、その後修験者と呼
　　　　　　　　　[東宝珠花日枝神社の富士塚]　　　　　　 ばれる宗教者たちが富士山を神仏が
　　宿る山岳修行の場として山頂をめざす「登拝」を行いました。鎌倉・室町時代１４世紀以降、
　　庶民のなかにも富士山を信仰する「道者」と呼ばれる信者が現れ、信者の案内や世話をする
　　「御師」も活発に活動しました。江戸時代前期１７世紀には信仰集団「富士講」が誕生し、
　　富士信仰は盛んになっていきました。
　　江戸時代後期には山岳信仰が爆発的なブームとなり関東地方では富士信仰のほか三山信仰（
　　出羽三山）、御嶽信仰（木曽御嶽山）などがあり、千葉県内は出羽三山信仰が代表的な山岳
　　信仰ですが、江戸川で江戸とつながっていた東葛飾地方では江戸で流行した富士信仰、御嶽
　　信仰が多く、特に野田は両信仰が突出して多い地域です。
　　富士信仰をする人々は富士講を組織して講単位で登山するなどの活動していましたが、野田
　　には「丸宝講」「山参講」「丸岩講」「丸の講」「丸木講」「不二道孝心講」などの講があ
　　りました。ただ現在では富士登山を続けている講の活動は確認できないようです。
　　野田には富士講が造立した浅間碑が多数残されていて、石田年子氏による２０００年代初頭
　　の調査では２６２基が確認されており、今回の展示に際しての追跡調査では１８０基余りが
　　確認されたとのことです。
　　野田の浅間碑は神社に築かれた富士塚のほか個人宅に祀られているものも多く、造立年代は
　　古いものでは天明3年（１７８３）ですが、中心となっているのは明治時代で、明治１０～
　　２０年代に造立されたものが多数とのことです。
　　また野田の富士塚は江戸時代天明期から明治半ば迄に大小７０基近くが造立され、今でも相
　　当数が残っています。
　　お勧めコースにある富士塚、浅間碑をいくつかご紹介します。

　　　上左）清水公園富士塚頂上「参明藤開山」碑　　上右）下町須賀神社富士塚


　　　上左）上花輪香取神社富士塚　　上右）東宝珠花日枝神社富士塚頂上「浅間大神」碑

　　なお掲載写真画像は野田市郷土博物館撮影。